妊娠中に感じることの多い、おなかの張り。安静にしていれば治まるものですが、医師に相談したほうがいいケースもあります。
おなかの張りで問題になるのはどんなとき?
おなかの張りは自覚的なものですが、同じ「張り」でも、なんとなく張っているものと、子宮が収縮して固くなるものがあります。前者は生理的なもので、動き過ぎ、ストレス、緊張、冷え、疲れ、便秘、子宮筋腫(きんしゅ)合併(がっぺい)などでも張りを感じることがあります。一方、後者は子宮収縮が起こっており、問題になることがあります。子宮収縮は収縮と弛緩(しかん)の時間的変化が記録できる分娩(ぶんべん)監視装置でモニターすることができ、この周期が規則的であるか頻回(ひんかい)になってくるかなどが問題になります。
妊娠初期(〜15週)は、子宮への血流が増えて筋肉が伸び、子宮を支える靭帯(じんたい)や広間膜(こうかんまく)が引っ張られ生理痛様の張りや痛みを感じることがあります。これらは、生理的なサインなので、超音波検査で胎児心拍が確認されている場合は、少し横になって休み、持続しなければ特に心配することはありません。安静にしても腹痛が増加したり、月経より多い出血量がある場合は、医師に連絡を。
妊娠中期(16〜27週)は、胎盤(たいばん)も完成して安定期に入り、20週頃からは子宮への血流も急激に増え大きくなるので、おなかの張りがよくわかるようになります。中期になると、子宮収縮が不規則的に起こるようになってきますが、子宮口が開いてこなければ問題になりません。これが10分間隔に規則的になり増強してくると陣痛(じんつう)と呼ばれるものになります。収縮が異常になると緊急な対応が必要になることもあるので、収縮が規則的になった際にはその持続時間と周期時間がどのくらいなのかを自分で測定してみましょう。出血や痛みをともなう場合、規則的収縮の場合には、切迫流産(せっぱくりゅうざん)・切迫早産(せっぱくそうざん)や絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)などのことがあります。また、水っぽいおりものが増えた場合や出血が続く場合には、前期破水や頸管(けいかん)無力症で子宮口が開いていることもあるため、診察を受けましょう。
妊娠後期(28週〜)では子宮がさらに大きくなり、頻繁(ひんぱん)におなかが張るようになります。赤ちゃんも大きく胎動(たいどう)も強くなるため、胎動(たいどう)のタイミングにともなって張る場合や、約30分以内に張りが治まる場合は心配いりません。しかし、出血や痛みをともなう、30分以上治まらない、持続的に張っている、張りがいつもに増して強く痛い、胎動(たいどう)の減弱・消失が感じられるなどの際には、切迫早産(せっぱくそうざん)や常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)のこともあるため、必ず医師に相談しましょう。