多くの女性では、産後1〜2カ月で月経が再開します。女性の健康のバロメーターとしての月経について、産後の変化を知っておきましょう。
産後の女性は心身ともに大きな変化がある
出産後、それまで胎盤(たいばん)から大量に分泌(ぶんぴつ)されていた性ホルモンが激減し、ホルモン環境が急激に変動します。乳汁分泌(ぶんぴつ)を促進するプロラクチンが下垂体(かすいたい)から分泌(ぶんぴつ)され、乳房も増大して母乳が出るようになります。妊娠によってもたらされた女性器や全身の変化が妊娠前の状態に戻る産褥(さんじょく)期はわずか6週間です。育児も始まっており、心身ともに適応するのは大仕事です。
産後1〜2カ月で月経が再び始まる人が多いです。しかし、授乳を続けているとプロラクチンの影響で卵巣機能が抑制され、1〜2年の無月経になる人も少なくありません。かつて避妊が一般的でなかった時代には、5人の子を出産する間ずっと無月経という人もいました。授乳期が終わる頃に次の子を身ごもるというのは、ある意味自然ですが、現代女性にそのまま当てはめるわけにもいきません。
産後の性生活開始に特に指針はありませんが、女性器の回復、あるいは性交開始は、産褥(さんじょく)期が済んだ頃というのが一般的です。原則は「セックスはふたりが楽しむもの」です。女性器以外への愛撫(あいぶ)はいつでもできます。妊娠期に引き続き、産後にセックスレスとなるカップルも少なくありません。これを避けるなら、妊娠中を通じてのスキンシップはどうでしょうか。
計画的妊娠のためには、産後、最初の性交から避妊が必要です。最初の月経の前に排卵が起こることがあり、それを予測することはできません。授乳性の卵巣機能抑制だけでは、避妊は不確かです。しかし、低用量ピルは乳汁分泌(ぶんぴつ)を抑えるので、授乳を続けるならコンドーム(当然ながら確実に使用する)、あるいはIUD(子宮内避妊器具)も選択肢(せんたくし)のひとつです。
産後、長期の無月経になる女性もいます。ストレス、体重減少など、さまざまな原因で起こります。うつ病などの精神疾患(しっかん)を起こすこともある時期ですので、治療のための向精神薬が影響し、薬物性無月経になる場合もあります。無月経期間の長い女性は骨量が低下するなど、女性の健康にさまざまな影響をおよぼします。2年以上の無月経では産婦人科医師に相談して総合的な判断をするのがよいでしょう。