妊娠をきっかけに、食生活を見直す妊婦さんは多いようです。赤ちゃんのためにもバランスの良い食習慣を
とくに意識して摂りたいのは、葉酸・カルシウム・鉄
妊娠中、とくに意識して摂りたい栄養素が、葉酸・カルシウム・鉄です。これらの栄養素はお腹の赤ちゃんの成長に不可欠なうえ、妊娠中に不足しやすいものでもあります。妊娠前からはもちろん、妊娠がわかってからも、毎日の食事に積極的に摂り入れていきましょう。食事を中心にしながら、サプリメントや栄養補助食品での摂取を検討してもよいでしょう。
葉酸はビタミンB群の水溶性ビタミンで、細胞増殖に必要なDNA合成に関わっています。また、タンパク質の合成の過程でも必要とされる栄養素です。細胞分裂にも不可欠で、妊婦のためのビタミンとも呼ばれています。葉酸が注目された要因のひとつに、おなかの赤ちゃんの神経管閉塞障害のリスクを減らす可能性があることが挙げられます。そのため、妊娠前から妊娠のごく初期に十分な量を摂取することが望ましいのです。葉酸が多く含まれるのは緑黄色野菜や一部の果物、レバーなどですが、葉酸は水や熱に弱く、また、摂取した時の吸収率が悪い(吸収率50%程度)という特徴があります。
葉酸を意識して摂るためには、蒸し料理や電子レンジ加熱など、水や熱をなるべく使わない調理法がおすすめです。また、ビタミンC、ビタミンB6やB12を一緒に撮ると、葉酸の吸収率がアップするといわれています。ビタミンCは、グレープフルーツやレモンなどのかんきつ類やいちごなどの果物、野菜、イモ類に多く含まれます。ビタミンB6はかつおやまぐろなどの魚類、肉、バナナなどに多く、B12はかきなどの魚介類やレバーなどに多く含まれます。
一方、葉酸の摂取にはサプリメントや栄養補助食品も有効です。厚生労働省は、葉酸を食品から摂るためには調理に手間がかかり、吸収率が悪いことから、食品+サプリメントや栄養補助食品との併用を推奨しています。ただし、摂りすぎないよう、用法用量を守って使いましょう。
カルシウムは、赤ちゃんの骨や歯の基礎になる栄養素で、乳製品、小魚、海藻に多く含まれています。ヒトの体内ではつくれないので、意識して摂るようにしましょう。妊娠中は妊娠していないときに比べて、腸管のカルシウム吸収率が増えるといわれていますが、日本人のカルシウム摂取量がそもそも少ない(摂取目安量より平均摂取量が少ない)ので、妊娠中はより積極的に摂ることが大切です。ビタミンDやビタミンK、マグネシウムと一緒に摂ると吸収率がよくなるといわれています。