おっぱいを空にすることが乳腺炎の予防になります。量が少ない人は、赤ちゃんがおっぱいを吸ってくれる工夫を。
おっぱいをためたままにしないことが大切
赤ちゃんがお産の後、早い時期からおっぱいを吸ってくれると、母乳をつくったり、出したりするホルモンがたくさん出て、母乳の量も後々増えてきます。逆に、おっぱいをためたままにすると、母乳の量は減ってしまいます。したがって、頻繁(ひんぱん)に赤ちゃんがおっぱいの中の母乳をしっかり飲みとってくれると母乳育児がスムーズに始められます。何らかの理由で赤ちゃんにすぐに吸ってもらうことができない場合には、なるべく早期から搾乳(さくにゅう)しておっぱいの中にある母乳を出すようにしましょう。乳汁産生を増やしたい場合はなるべく「空」になるまで赤ちゃんに飲んでもらうか、授乳後に搾乳(さくにゅう)して「空」に近づけるようにしておくとよいでしょう。
授乳中の女性でしばしば遭遇(そうぐう)する病気に乳腺炎があります。産後3カ月までに大体10人に1人、全授乳期間を通じると3〜5人に1人が経験するともいわれています。母乳を適切におっぱいから出すことができないために起こることが多いようです。おっぱいから母乳を出すことが予防になりますし、治療にもなります。母乳を出しやすくするためによくやられていることは、授乳前に暖かいおしぼりなどでおっぱいを温めること。母乳を出す反射が起きやすくなります。乳腺炎になったおっぱいから先に授乳するなど、飲み残しがなくなるための工夫をします。お母さんが心地よいと感じるのであれば、授乳と授乳の間に保冷剤をタオルにくるむなどして冷やしてもよいでしょう。
母乳がまったく出ない女性はきわめてまれですが、量が少ない人は粉ミルクを使いながら、赤ちゃんがお母さんのおっぱいを吸ってくれるように、次のような工夫をしましょう。
・赤ちゃんがおっぱいに大きな口を開けて吸いつけるような抱き方をする
・授乳回数を増やすため、赤ちゃんが泣くのを待つのではなく、目をきょろきょろさせたり、口をぱくぱくさせていたら授乳する
・赤ちゃんと肌を直接触れ合わせ、ぴったりと抱くようにする
・授乳しながらおっぱいを優しくマッサージして、赤ちゃんの口に母乳が流れやすくする
・授乳と授乳の間に搾乳(さくにゅう)をし、赤ちゃんにスポイトやスプーンを使って与える。首がしっかりしてきたら、家族の食事のときにスープ皿に入れた母乳をスプーンで与えるのもよろこぶでしょう。