出産後すぐに赤ちゃんへの授乳が始まります。妊娠中期になったら、乳房マッサージや乳頭の手入れをして備えましょう。
授乳の準備は乳腺炎(にゅうせんえん)予防にもなります
妊娠経過にともない、乳腺(にゅうせん)・乳管組織が増殖し、乳房や乳頭、乳輪が大きくなり、母乳をつくる準備が始まります。出産後は、乳房が急激に発育し、乳汁分泌(ぶんぴつ)が始まります。生まれた直後の赤ちゃんは1〜2時間おき、2カ月後からは間隔は伸びますが3〜4時間おきに、左右のおっぱいを10分位ずつ吸います。それに耐えられるよう、また十分授乳ができるよう、準備しておくことが大切です。妊娠中期(24週頃から)になったら助産師さんに、赤ちゃんが吸いやすい乳首になっているかチェックしてもらいましょう。乳房マッサージの開始時期、方法は施設により多少異なりますので、相談を。
乳頭の手入れも大切です。乳頭の先には数個から数十個の乳口(乳汁の出口)があり、妊娠前は栓(せん)をしたような状態になっています。この栓(せん)を取り除いて、乳口を開いておくのです。入浴時にリラックスした状態で指の腹を使って、ゆっくりそっと行うのがよいでしょう。乳口が開いていないと乳汁が分泌(ぶんぴつ)されずに溜まり、乳腺炎(にゅうせんえん)の原因になります。乳頭刺激をすると、子宮を収縮させるホルモンが出て子宮が硬くなりますので、次の場合は控ひかえましょう。①健診で安静を指示されているとき、②おなかが急に張ってきたとき、③おりものが急に増えたり血が混ざるようなとき、④手入れをしていて気分がよくないと感じたり、赤ちゃんの胎動(たいどう)が激しくなったりするとき。
陥没(かんぼつ)・扁平(へんぺい)乳頭の人は、赤ちゃんが吸いやすい乳頭の形になるよう、整えておくことが大切です。親指・人さし指・中指で乳輪部を含んだ範囲を、ゆっくりつまみ出すように乳頭を突き出させます。便利な器具もありますので助産師さんの指導を受けてください。
[乳頭の形]
【正常乳頭】 乳頭の長さや直径が8mm以上なら標準
【扁平(へんぺい)乳頭】 乳頭が扁平なもので、乳輪・乳頭が同一面にあるもの
【陥没(かんぼつ)乳頭】 乳頭がへこんでしまっているもの、または乳輪をつまんだときに乳頭が陥没するもの